相対論対量子論―徹底討論・根本的な世界観の違い (ブルーバックス)



相対論対量子論―徹底討論・根本的な世界観の違い (ブルーバックス)
相対論対量子論―徹底討論・根本的な世界観の違い (ブルーバックス)

商品カテゴリ:物理学,化学,数学,地学,科学,学習,知識
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マニーよ、しっかりしろ

 相対性理論と量子論についてガリレオの「天文学対話」の形式で登場人物のジャッキーに著者の立場を語らせているのだが、著者は相対性理論に関して極めて非正統的な異説を唱えており、両理論の理解に自信のない人にはお薦めできない。著者独自の説については著者の「相対論のロジック―どこまで、どのように適用されるべきか」(日本評論社)が詳しいし、原田稔著「相対性理論の矛盾を解く」(NHKブックス)でも紹介されている。本書では時計の文字盤の比喩を示しているのみだ。
 正統派を代弁するはずのマニーの反論が「実験で証明されている」だけでは、マニーも役不足というしかない。双子のパラドクスは相対性理論の枠内で矛盾無く解決できるのだが、それを完全に無視しているところが著者の非正統的たるところである。
 量子論に関してはジャッキー(=著者)がコペンハーゲン解釈に不満なことだけはわかるし、その点では同意する専門家も多いだろう。が、他にも多世界解釈やボーム理論、町田?並木説など色々出ているのだから、観測問題に興味のある人にはこの本はあまりに視野が狭すぎてお薦めできない。また、実証論対実在論の2項対立を持ち出すのは、思想史のネタとしてはおもしろいが、観測問題そのものをまじめに考察しようとするなら、単に発想に枠をはめてしまうことにしかならないだろう。
 相対性理論と量子力学はそれ以前の世界の見方を変えたので、そこに哲学的意義を探りたくなるのは人情ではあるが、まずは正式な教科書か良き啓蒙書で理論をある程度きちんと理解してからでないと、哲学的思索だけに走るのは危険である。それは土台がいいかげんなままで壮麗なだけの建物を造ろうとするようなものだ。



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